カードローンの基礎がわかる全3回シリーズ、過去2回ではカードローンの特徴やその上手な使い方をみてきました。
・はじめてのカードローン#1 カードローンとは?
・はじめてのカードローン#2 上手にカードローンを使うには?
最終回の今回は銀行のカードローンならではのメリットをみていきます。
銀行カードローンとその他カードローンの違い
カードローンは取り扱う機関により、主に3種類に分けられます。
・銀行のカードローン
・信販(クレジット)会社のカードローン
・消費者金融会社のカードローン
その大きな違いは、規制している法律が異なることです。
銀行は「銀行法」で規制されています。信販会社と消費者金融会社は「貸金業」に分類され、「貸金業法」という法律で規制されています。貸金業には関東財務局の管轄だけでも131業者(令和5年2月28日時点)が登録されており、業者の名称や所在地などは財務省のホームページで公開されています。
貸金業として登録をせず違法に業務を行っているのが、いわゆる「ヤミ金融」です。
借入には上限金利と借入限度額が決められている
信販会社・消費者金融会社のカードローンを規制の対象とする貸金業法では、次のような規制が設けられています。
総量規制
・年収の3分の1を超えると新規借入ができない
・基本、借入の際に年収証明書を提出する
上限金利
借入額に応じて15%~20%までの上限金利を設定
借入額 | 上限金利 |
10万円未満 | 年20% |
10万円~100万円未満 | 年18% |
100万円以上 | 年15% |
※金融庁のデータをもとに作成
貸金業務取扱主任者の配置
各営業所に「貸金業務取扱主任者」(国家資格)を配置して法令順守の助言や指導を行う。
これらに違反すると「貸金業法違反」として行政処分の対象となります。そのため、限度額を超えないよう、年収など収入を証明する書類の提出と審査が必要となるのです。
このような規制のもとに営業をしているのが、信販会社・消費者金融会社です。
では、銀行カードローンは信販会社や消費者金融会社のカードローンとどのような違いがあるのでしょう。
銀行のカードローンは「銀行法」で規制されていますので、貸金業法の対象外となり、前出のような規制はありません。しかし、平成30年8月に金融庁が行った調査「銀行カードローンの実態調査結果主なポイント」によると、「上限枠設定行は約9割」「うち約7割が他行・貸金業者からの借入額を含め年収の2分の1以下に上限枠を設定」という調査結果が出ています。つまり年収を基準に、貸付上限枠を自主的に設定していることがわかります。
このように信販会社・消費者金融会社と同様に銀行も「貸しすぎない」ように、借入限度額や上限金利などを設定していると考えてよさそうです。
カードローン選びで何を比較したらよい?
さらに詳しく違いをみてみましょう。銀行カードローンと消費者金融のカードローンを比較してみました。
銀行系と消費者金融系の比較表
比較内容 | 銀行のカードローン | 消費者金融のカードローン |
年齢(注1) | 満20歳以上から69歳以下など | 満20歳以上満70歳までなど |
保証会社 | あり | なし |
利用方法 | ATM、振込 | |
融資実行まで | 最短翌営業日 | 25分から30分 |
返済方法 | ATM、振込、口座振替 | ATM、振込、口座振替 |
担保、連帯保証人 | 不要 | |
上限限度額 | 500万円、800万円など | |
金利 | 1.5%~14.6% | 3.0%~18.0% |
サービス | ポイント還元、金利優遇など | 初回のみ30日、60日、180日(条件あり)無利息など |
※銀行はメガバンク4行のデータ、消費者金融はプロミス、アイフル、レイク、アコムのデータを参照
(注1)年齢は各行、各社異なる。プロミスとアコムは18歳以上(高校生不可)
カードローンを選ぶ際の比較ポイントは次の3つです。
・申し込みから融資実行までの速さ
・金利
・サービス
申し込みから融資実行までの速さは消費者金融のカードローンが勝ります。金利面では銀行のカードローンが比較的有利です。サービスに関しては、借入残高に応じたポイントサービスなど各社さまざまな工夫を凝らしていますので、自分に合ったサービスを提供してくれる会社を選ぶと良いでしょう。
まずは3つの比較ポイントの中で自分が何を重視するのか考えましょう。たとえば今すぐにお金が必要なのであれば、少し金利が高くても即日融資が可能な消費者金融で借りる。それほど急いでいないので金利が低い銀行で借りる、という考え方です。
お金が今すぐ必要なのか、数日待てるのかなど、自分自身の状況に応じて、どこから借りるか考えると良いでしょう。
銀行のカードローンのメリット、デメリット
銀行のカードローンのメリットとして、次のような点が挙げられます。
・銀行ならではの信頼感・安心感がある
・信販・消費者金融のカードローンより金利が低め
・利用できるATMが多い
・自動融資の設定ができる
また住宅ローンを借りている場合、同じ銀行でカードローンの契約をすると、金利が低くなる「優遇金利」を受けられることがありますので、確認してみましょう。
一方デメリットとしては、消費者金融よりも審査に時間がかかることです。ただし時間がかかるといっても数日から10日ほどですから、人によってはあまりデメリットと感じないかもしれません。
銀行のカードローンを選ぶポイント
では銀行のカードローンを借りる場合、どのように銀行を選べばよいのでしょうか。4つのポイントを押さえておきましょう。
1つ目のポイントは「金利」です。各社サイトで金利年何%~何%とカードローンの金利が表示されていますが、参考にすべきは上限金利のほうです。借りる金額の大きさやその銀行で住宅ローン利用などを理由に優遇されることもありますが、最初は上限金利を適用されることがほとんどです。上限金利で比較するのがポイントです。
2つ目のポイントは毎月の「返済日」です。返済日を自由に選べる銀行と選べない銀行があります。返済日が選べる銀行なら給料日当日やそのすぐ後を設定することによって、お金を使ってしまう前に返済ができます。
3つ目のポイントは「自動融資の設定」です。一般にカードローンのカードは、カードローン専用のものかキャッシュカードと兼用のものかを選べます。兼用カードに自動融資機能を設定できる場合は、あらかじめ契約をしておくと便利です。たとえば公共料金やクレジットカードの利用代金を引き落とす普通預金口座が残高不足になってしまっても、カードローンから自動融資をしてくれます。ただし、カードローンの返済のための資金不足に自動融資は行われません。
4つ目のポイントは「サービス」です。借入残高に応じたポイントやキャッシュバック、何日間無利息、など各社サービスを比較してみましょう。
まとめ
・カードローンには銀行、信販(クレジット)、消費者金融が提供する主に3つの種類がある
・カードローンを取り扱う業者によって、規制される法律が違う。信販会社、消費者金融会社は「貸金業法」、銀行は「銀行法」
・銀行のカードローンは信販会社や消費者金融のカードローンより金利が低め
・銀行のカードローンにはいざというとき心強い「自動融資の設定」も
以上、全3回にわたりカードローンについてご紹介してきました。
いざというときの頼れる味方、便利なカードローンですが計画的なご利用を心がけ、借りすぎにご注意ください。
伊藤 魅和(いとう みわ)
伊藤 魅和(いとう みわ)
ファイナンシャル・プランナー CFP🄬認定者
FP office ITO代表。大学卒業後、証券会社等金融機関勤務での経験を活かし、ファイナンシャル・プランナーとして独立。Web原稿等の執筆や家計相談に加え、主にセミナー講師として「わかりやすく」をモットーに、ライフ&マネープラン、確定拠出年金、資産運用講座など、中学生から高齢者まで幅広く行っている。共著に「FP必携!注目ニュース&キーワード事典2016-2017」(近代セールス社)がある。