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【雑記帳】国債、禁じ手、財政ファイナンス

どうなる?イタリア予算案

最近の気になるニュースはイタリアの予算案をめぐる攻防、ブッチーです。

2010年からのギリシャ危機が欧州危機、ユーロ危機へとつながったように、EU(欧州連合)はいわば運命共同体。1国の財政危機が、参加国すべてに深刻な悪影響を及ぼしてしまいます。

それゆえEUでは政府債務残高(つまり国の借金)はGDPの60%まで、などのルールを参加国に課していますが、イタリアの政府債務残高はこれを大幅に超えるGDP比130%超。 つまり今のイタリアは財政健全化に向けて必死の努力をしなくちゃいけない立場なのですが、6月に誕生した連立政権は大衆迎合的で、来年度の予算案も大盤振る舞いのバラマキ型。

「所得の低いみなさんには毎月780ユーロを支給します!」
「国民のみなさんのため減税します!」
「公共投資に力を入れて道路や橋をバンバン補修します!」

欧州委員会(EUの執行機関)は
「そんな予算案では借金が減るどころか、むしろ増えてしまいます。ちゃんとした案を再提出しなさい!」
と予算案を差し戻しますが、当のイタリアはこれを拒否する構え。

イギリスの離脱(Brexit)だけでも頭の痛い問題なのに、これはEUにとってなんとも厄介な悩みの種といえましょう。

イタリアがあくまで是正措置を拒む場合、欧州委員会は最大でGDP比0.5%の制裁金を科すことができますが、そこまで関係が悪化してしまうのでしょうか?

日本の借金は世界一!

さて、私たちも人の国の心配をしている場合ではありません。みなさまご存知のとおり、世界最悪とも言われているのが日本の財政。その政府債務残高は対GDP比130%超のイタリアをはるかにしのぐ、仰天の230%超!

参考までに他の国を見てみるとドイツで約60%、アメリカは約100%、日本に次ぐ世界ワースト2位のギリシャでさえ180%程度ですから、その経済規模に対していかに日本の借金が異様に膨らんでいるか分かろうというもの。

ここまで借金が増えると「財政破綻するんじゃないか?」「デフォルト(債務不履行、つまりお金を返せませんゴメンナサイ状態)するんじゃないか?」と不安視されて、もうこれ以上お金を借りられなくなりそうなものですが、今のところなぜか何とかなっているのが不思議の国・ニッポン。

EUに緊縮財政を強いられている真っ最中のイタリアでは最近、そんな日本経済の研究が盛んなようで、
「イタリアよりもはるかに財政状態の悪い日本が大丈夫なのだから、イタリアだってまだまだお金を借りても大丈夫!」
といった論調もあるようです。

日本人の勤勉さや礼儀正しさ、モノ作りに賭けるこだわりなどを見習おうとする海外のかたは多いようですが、まさか借金大国である点まで見習おうとされようとは甚だ意外!

しかし幸か不幸か、イタリアは統一通貨ユーロの使用をやめでもしない限り、日本の真似をすることはできません。以下、日本の特殊な借金のからくりを簡単に見ていきましょう。

禁じ手!?財政ファイナンス

近年の日銀に対して、「事実上の財政ファイナンスをやっている」という批判が根強くあります。

国が借金をする際は「国債」という借用証書を発行して誰かに買ってもらうわけですが、その国の中央銀行が政府から直接国債を買い取ること、つまり政府の資金繰りを中央銀行が国債購入で助けることを「財政ファイナンス」といいます。

これを認めると、中央銀行が打ち出の小槌のようにガンガンお金を刷れば、政府はいくらでも借金を重ねられることになってしまいます。そんなこと事を続けていたら、お金の価値が急落(モノの値段は急上昇)、ハイパーインフレとなってしまうこと必至です。

事実、第一次大戦後のドイツは財政ファイナンスを行ったため天文学的なハイパーインフレに陥っており、それらの教訓から先進各国は財政ファイナンスを禁じています。もちろん日本でも財政法上、禁止です。

現在の日銀は政府から"直接"国債を購入しているわけではなく、政府が発行した国債をまずは民間金融機関が購入 → その国債を日銀が民間金融機関から買い取る、という流れなので法律的にはなんら問題はありません。

ただしここ最近は日銀の国債買い入れ額があまりにも巨額に及ぶことから、もはや日銀が最終的に買い取ってくれることを前提とした歪んだ国債発行のように見えるということで、「事実上の財政ファイナンスなのでは?」という批判の声があるわけです。つい5年ほど前は日本国債のうち、日銀が保有している割合は1割程度でしたが、今や4割超。黒田総裁は否定しているものの、「日銀が国債購入で政府の資金繰りを助けている!」という批判も致し方ないところでしょうか。

ちなみにユーロ採用国のイタリアがこれと同じ方法で新たな借金を重ねようとすると、ECB(欧州中央銀行)にイタリア国債を買いまくってもらうしかありませんが、そんな事を他のユーロ採用国が許してくれるはずもなく、とても無茶なお話です。

保険としての外貨預金

「日銀がやっていることは財政ファイナンスそのものだ!」
「いいや、デフレ対策であって財政ファイナンスではない」
「こんな事を続けていたらデフレから一転、ハイパーインフレになる!」
「いやいや、ハイパーインフレは絶対にない」

などなど、識者の間でも意見が大きく異なる財政問題。これらさまざまな意見や、日本が借金大国になった経緯などは今後このコーナーで紹介していけたら、と思っています。

結局のところ誰にも正確には予測できないのが未来ですが、仮に一部で懸念されているようなハイパーインフレが日本を襲ったら、外国為替市場では円の価値が大暴落、超円安になるのはほぼ間違いないでしょう。

為替レートはいわばシーソー。円の価値が下がれば下がるほど外貨の価値は上がるため、万一の事態に備えるには資産の一部を外貨で保有することが有効です。みな皆さまもいざという時の保険、お守り代わりに、外貨を保有してみませんか ?

<追伸>
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外貨預金の重要事項
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