ホーム ナレッジ 運用のプロに聞いてみた!日本初のインド株式インデックスファンド「iFreeNEXTインド株インデックス」

ナレッジ

公開:

運用のプロに聞いてみた!日本初のインド株式インデックスファンド「iFreeNEXTインド株インデックス」

世界一の人口を抱え、2025年には名目GDP(国内総生産)でも日本を上回り、世界4位になると予想されているインド。その高い成長性への期待もあって、最近はインド関連ファンドが人気です。その中でも低コストが魅力の「iFreeNEXTインド株インデックス」は特に注目されています。
(参考ファンド)
iFreeNEXTインド株インデックス

一方で、ここ数年で基準価額が大きく上昇していることもあり、「今から購入しても大丈夫なの?」と少し不安になる人もいるかもしれません。そこで、投資信託の「中の人」たちにインタビューする新シリーズの第1回では、同ファンドを運用する大和アセットマネジメントのエコノミストである金 春愛さんと、ファンドマネージャーの柴山 純輝さんのおふたりに、インドの今後とファンドの強みなどをうかがいました。

大和アセットマネジメント
調査部 シニア・エコノミスト/シニア・ストラテジスト
金 春愛さん

大和アセットマネジメント
ベータ・ソリューション運用部
ファンドマネージャー
柴山 純輝さん

先日のインドの総選挙ではモディ首相の与党インド人民党が第1党にとどまりましたが、まずは今回の結果がインド経済に与える影響について、うかがえますか。

 事前予想ほどの圧勝にはならなかったのですが、モディ首相が率いる与党連合NDA(国民民主同盟)は過半数の下院議席獲得、および政権維持に成功し、モディ首相の「3期目入り」が確定しました。与党の議席の単独過半数割れを受け、今後の政策運営においてスピード感はいくぶん低下しますが、モディ首相の続投により、インフラ投資や外資の誘致などこれまで景気の好循環を生み出してきた政策が今後も継続されると見込まれます。

総選挙に先駆けて発表されていたマニフェストでも、インフラ整備を全土で進め、通信網や発電力を強化するといった方針が示されていました。しかも、2036年のオリンピック招致も表明していますから、開催国が決まる2026年から27年に向けて、インフラ整備のさらなる加速が期待されます。

モディ首相はこれで3期目となりましたが、1期目は高インフレや不良債権など、前政権の負の遺産の処理などに追われ、構造改革に専念していた面がありました。ただしその結果、インド経済は非常にヘルシーな状態となり、2期目の後半には強いリーダーシップでさまざまな投資主導の経済発展を推し進めることができたのです。近年の高成長を見てもわかる通り、今は各種改革の成果が表れ始める「実りのとき」だともいえるでしょう。

日本があれだけ苦労した不良債権の処理に成功し、今のインド経済はヘルシー、非常に健全だというわけですね。

 その通りです。裏付けとなっているのが税収で、さまざまな構造改革の結果、近年は税収が急増しています。ですから、先ほどのインフラ投資にしても、この税収増があればこそできる政策で、持続性も問題ありません。

一例をあげると、2047年までに都市部の鉄道を現在の約10倍の7,000kmに、高速道路は新たに14.5万km建設すると発表しています。イメージしにくいかもしれませんが、沖縄から北海道までが約2,200kmですから、いかにとてつもない数字かがわかるのではないでしょうか。

「インドの時代」がいよいよ始まろうとしている?

インドの名目GDPは2025年に日本を上回るといわれていますが、さらに長期で見たときにはどうなのでしょう?

 中長期の成長をけん引するものとして、やはり見逃せないのは人口構成で、インドの平均年齢は約28歳と日本よりも20歳ほど若く、いわゆる「人口ボーナス期の拡大期」に突入しています。これは総人口に占める「生産年齢(15歳~64歳)人口」がそれ以外の人口の2倍以上、かつ増え続ける状態を指しますが、日本の1950年代後半以降、中国の2000年代初頭以降の高度成長期が典型的な例としてあげられます。インドでは2019年に人口ボーナス期に入り、2032年にピークを迎えると予想されていますから、今後10年近く高度成長期が続くと期待できるわけですね。

少子高齢化が進む日本にとっては、何ともうらやましい状況ですね。

 その人口構成に支えられた個人消費と、前述のインフラ投資を両輪とする内需の拡大が、中長期での経済成長の原動力となるはずです。

さらにもうひとつのドライバーとなるのが輸出の拡大で、インドというとITのイメージもあると思いますが、モディ首相は「メイク・イン・インディア」をキャッチフレーズに製造業の振興を進めてきました。しかも現在、米中摩擦が避けられなくなっている中、その恩恵を最も受ける国のひとつが、おそらくインドなのでしょう。

例えばAppleのiPhoneの全生産量のうち、インドで製造されている比率が2023年に約14%となり、2年前の3%程度から大きく拡大しました。さらにAppleは今後5年以内にインドでの生産規模をこれまでの5倍以上に拡大するという計画を発表しています。今後も多くの企業で、中国からインドへのシフトが進むと予想されます。

人口ボーナス期を迎えていること、個人消費とインフラ投資による内需拡大、そしてIT企業を中心とする輸出拡大がインドの中長期での成長を支えるわけですね。

 はい。その成長ストーリーは中国の高度成長期と重なる部分が多く、だからこそ、これから2030年代にかけては、「インドの時代」となる可能性が高いのではないでしょうか。

右肩上がりの上昇を続けてきたインドの株価指数

インド経済に追い風が吹いている中、「iFreeNEXT インド株インデックス」も好調が続いていますね。運用の責任者、ファンドマネージャーである柴山さんは現状をどう捉えていますか。

柴山 インドへの注目の高まり、そして新NISAのスタートもあって、おかげさまで当ファンドには多くの資金が集まっています。その勢いは、現在も衰えることがありません。純資産総額も設定から1年ほどで早々に1,000億円を突破しました。

改めて、ファンドの特徴などをうかがえますか。

柴山 まず「iFreeNEXT」についてですが、当社にはもともと「iFree」というオーソドックスなインデックスファンドのシリーズがあります。それに対してこの「iFreeNEXT」は、例えば「FANG+(ファングプラス:Facebook、Amazon、Netflix、Googleの4社を含む、米国企業10銘柄で構成された株価指数)」に代表されるような、個性的な指数に連動するインデックスファンドのシリーズとして誕生しました。

その中で「iFreeNEXT インド株インデックス」は、インドの株価指数「Nifty50」への連動を目指すインデックスファンドです。ETF(上場投資信託)を除けば、インド株式を対象とする日本で初めてのインデックスファンドでもあります。

インドの株価指数として、知名度が高いのは「SENSEX」ですね。違いはどこにあるのでしょう?

柴山 その他には「MSCI India」もあり、この3つが代表的なインドの株価指数です。ただ、銘柄数などは異なるものの、パフォーマンスにそれほど違いはありません。いずれも2024年4月に最高値を更新し、長期で見ても上昇が続いています。

「iFreeNEXT インド株インデックス」の設定は2023年3月ですが、2024年5月末時点の設定来の騰落率がプラス47.9%で、純資産総額は1,261億円。きれいな右肩上がりのパフォーマンスで、残高も着実に拡大してきています。

日本最大のインド株式インデックスファンドだからできること

インドの株式市場については、あまり馴染みがないというかたも多いと思いますが、どんな特徴があるのでしょうか。

 もともと個人投資家の比率が3割ほどで、例えば中国の場合はそれが8割以上ですから、新興国の中でもかなり低いのが特徴です。その分、安定性が高いメリットはありますが、一方で外国人投資家の比率が高く、その影響を受けやすい側面もありました。

ただし、インドには「SIP(Systematic Investment Plan)」という投資信託の積立制度があって、特にコロナ禍以降はこのSIPが急速に拡大しました。これはインド版つみたてNISAともいえるシステムで、このSIPを通した個人投資家の積立投資の資金がインドの株式市場を下支えしています。例えば2022年は米国を代表する株価指数のS&P500が20%ほど下落したのに対し、Nifty50は4.3%の上昇とプラスを維持しました。その大きな要因となったのが個人投資家の資金で、足元では約3,700億円という多くの資金が毎月SIPを通して流入するまでになっています。

柴山 運用者の立場でいうと、インドの株式市場は他の市場と比べて運用のハードルは高い面があります。例えば、現物株を購入する際には事前にインド・ルピーを送金しておく必要があり、しかも売却時には課税されるうえ、売却後も一定期間資金が拘束されてしまいます。

これは特にアクティブファンドのパフォーマンスにダメージを与えます。だからこそ、インデックスファンドを持つメリットにもなるわけですが、インデックスにおいては、これらの制限によって先物やETFを組み入れないと運用が難しくなってしまうのです。

そのため、当ファンドも当初は先物で運用していましたが、2023年12月から現物株の組み入れをスタートさせました。その理由は、先ほどの制約が先物にもデメリットをもたらすからです。少し専門的になってしまいますが、先物の価格と現物株の価格が乖離してしまった場合、裁定といって安いほうを買い、高いほうを売る取引が行われてその差が解消されます。けれどもインドの場合は、現物株の売買が制限されるため裁定が働きにくいのです。また、そのほかに先物ロールオーバー取引で毎月コストが発生することもデメリットとして挙げられます。

こうしたデメリットを抑制する目的で現物株を組み入れたわけですが、これができるのも当ファンドの残高が大きくなったからだといえるでしょう。ファンドの規模が小さければ現物売買時の固定コストの影響も大きくなりますが、規模が大きければ大きいほどその影響は緩和されます。つまり、現物株の組み入れは、インド株式のインデックスファンドの先駆けで、国内の公募投信では残高も最大である当ファンドならではの強みでもあるのです。

なるほど、ファンドの規模が小さくては、真似したくてもできないわけですね。

柴山 インデックスファンドの場合、信託報酬の差が注目されがちですが、このように運用方法によっても違いが出てくる場合があります。実際、同じ指数への連動を目指すファンドであっても、パフォーマンスが違うといった事態が起こり得るのです。特に新興国ではそうした差が出やすい面もありますから、コストだけではなく、運用の特徴にもぜひ目を向けていただきたいですね。

最後に、「このファンドをこんなふうに活用してもらいたい」など、個人投資家の皆さんに向けたメッセージをお願いします。

柴山 最近は「オール・カントリー」や「S&P500」などのインデックスファンドで積立をされるかたが多くなっています。ただ、「オール・カントリー」といっても、インドの組み入れ比率は2%程度。インドだけに、当ファンドをまさにスパイスとして、それらのファンドと併せ持つといった使い方もできるのではないでしょうか。

 そうですね。これだけインド経済にプラスの材料がそろっているわけですから、その成長のメリットを享受したいのであれば、やはりインドにも別途、投資しておく必要があるのでしょう。もちろんリスク要因もあって、例えばインドは原油を輸入に依存している国ですから、原油価格が大幅に上昇するようなことになれば、株式市場が軟調になる可能性はあります。それでも、そうしたリスクを補って余りある成長が期待できるのも確かでしょう。

また、ここ数年で株価が大きく上昇しているだけに、過熱感を懸念される向きもあるかもしれません。しかし、PER(株価収益率)などの各種指標を見ても、現状は決して割高ではありません。これまでの株価上昇の最大の要因となってきたのも企業業績の拡大ですから、その点からも過熱感はほとんどないといえるでしょう。繰り返しとなりますが、まさに「インドの時代」が始まる可能性が高いと私は考えています。

柴山 一方で、インドについてはまだまだわからない部分が多いという声も聞こえてきます。その点、当社では情報発信にも力を入れていますから、ぜひホームページなどでそうした情報もチェックしつつ、このファンドを長期で保有していただけるとうれしいですね。

本日はありがとうございました。

インタビュー・文:金融エディター・菊地 敏明

ソニー銀行で口座開設

関連タグ

NISA投資信託投資信託・NISA積み立て資産形成

おすすめ記事

ナレッジ

最新記事