新NISAをきっかけに資産形成を始めてだいぶ慣れてきたことで、そろそろ追加の投資を検討している人もいるのではないでしょうか。とはいえ、次の商品はどんなタイプにすればいいのか、もしかしたら最初の商品以上に迷ってしまうかもしれませんね。
すでに購入している商品で利益が出ているから、同じ商品を追加で買うといった選択もあっていいでしょう。ただし、投資の基本である「分散投資」の考え方からすれば、異なる性質の商品を選んだ方が、分散効果が高まるのは確かです。
改めて「分散効果」について簡単に説明すると、よく使われるのが「卵は1つのカゴに盛るな」というたとえ。1つの商品に集中して投資してしまうと、相場が暴落するようなときには、1つのカゴに入った卵がすべて割れてしまうように下落を避けることはできません。けれども、投資対象の資産や地域などが異なる商品をあわせて持っておけば、もし1つの商品が下落したとしても別の商品は免れる可能性があり、全体としてはリターンが安定しやすくなるというわけです。この分散効果を高めるためには、なるべく異なる値動きをする資産を組み合わせることとされており、株式と債券の組み合わせがその代表といっていいでしょう。
分散投資の考え方と「投資の目的」を組み合わせる
一方で、この分散投資に近い考え方ではあるものの、少し違った観点から商品の組み合わせを考える手法に「コア・サテライト運用」があります。これは文字通り、資産をコア(中核)とサテライト(それ以外)に分けて組み合わせる手法で、コアは「守りの資産」で相対的にリスクが低い商品、サテライトは「攻めの資産」で相対的にリスクが高い商品を選び、この両者をあわせもつのが一般的な「コア・サテライト」の考え方です。例えば、先ほどの債券と株式が、まさに「守りの資産」と「攻めの資産」の組み合わせだといえるでしょう。
「コア・サテライト」は単に分散効果だけではなく、そこに「投資の目的」を加えた考え方でもあります。同じ投資資金の中にも、近いうちに使うことになるかもしれない「あまり減らしたくない資金」と、いわゆる「余裕資金」とがあるはずです。この場合、「あまり減らしたくない資金」をコアとして、比較的リスクの低い債券中心のファンドや、最初から分散の効いたバランス型ファンドで運用します。一方の「余裕資金」であればある程度のリスクを取れるでしょうから、株式中心のファンドでより高いリターンを狙うというわけです。
「コア」と「サテライト」で次の商品を選ぶには
この「コア」と「サテライト」の捉え方は、「コア=守り」「サテライト=攻め」だけではなく、もう少し柔軟に考えてもいいのかもしれません。例えば、最近は積立投資の有効性が広く知られるようになっていますから、積立で資産形成を始めた人が少なくないはず。この積立投資で、なおかつ、現在20代、30代で長く投資できるという人であれば、ある程度のリスクをとっても長期的にはリターンが安定すると考えられるため、株式中心のファンドだけで積み立てをするという選択もあり得ます。
この場合、株式中心のファンドは「守りの資産」とは言えないものの、積立投資であればコアと捉えることも可能でしょう。サテライトの方は「一括投資」で、相場が下落したタイミングでより高いリターンを狙ってみる。つまり、「コア=積立」「サテライト=一括」になるわけです。
さらに積み立てで投資を始めた人の中には、インデックスファンドを利用している人が多いのではないでしょうか。インデックスファンドは一般的にコストが低く商品性もわかりやすいため、投資初心者におススメなのは間違いありません。ただし、株価指数などに連動する商品ですから、例えば代表的な指数である日経平均株価が下がり続けるような局面だと、日経平均に連動するインデックスファンドも下落します。それに対して同じ日本株式に投資するファンドでも、優良な銘柄のみを厳選して投資するアクティブファンドであれば、日経平均が下がっているときにも下落を抑えられたり、場合によっては上昇する可能性があったりもするのです。
ですから、インデックスファンドでの積み立てをコアにしつつも、サテライトとしてアクティブファンドでも積立をする。あるいは、サテライトでアクティブファンドに一括投資をするといったやり方もあるでしょう。このケースでは、「コア=インデックス」「サテライト=アクティブ」になるというわけです。
コアの部分を必ずしも「守り」に限定するのではなく、むしろ自身の資産形成の「中核部分」と捉え、それ以外の部分をサテライトと考えた方が、次の商品は選びやすいかもしれません。例えばサテライトとしてなら、インドなどの新興国の株式に投資するファンドや金(ゴールド)などのコモディティに投資するファンドなど、より個性的なファンドを選んでみるのもいいでしょう。そんな選択をすることで、投資をもっと楽しめる可能性もあるのです。とはいえ、あくまでサテライトですから、余裕資金の範囲での投資にとどめておくのも忘れないようにしてくださいね。
(参考ファンド)
iFreeNEXT インド株インデックス
iTrust新興国株式<愛称:働きざかり~労働人口増加国限定~>
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)
eMAXIS プラス コモディティインデックス