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南アランド
政策金利の高さ |
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情報の入手しやすさ |
トップクラスの金利水準の新興国通貨
資源大国南アフリカで流通する通貨が南アフリカランドです。南アフリカは世界有数の資源国であり、特にプラチナ、ダイヤモンド、金などの有名な産地です。天然資源が豊富な国ですが、高いインフレ率や人種問題、周辺国の絶えない紛争など、政治的・社会的リスクもあります。南アランドは新興国通貨なので、米ドルやユーロ、円などのメジャー通貨と比べると取り引き量は少なくなります。そのため、経済指標発表など、ちょっとしたことでも相場が大きく変動するリスクを抱えている面もあります。
南アフリカランドは高金利ということもあり、世界中の投資家から好まれ資金が集まっていますが、世界的景気後退懸念などリスクが高まると、一気に投資家たちが手を引き大きく下落する恐れもあります。
鉱物資源の市場価格との関わりも深い上級者向けの通貨
南アフリカはプラチナなどの鉱物資源を主要産業としているため、これらの商品価格が為替レートに影響してきます。また新興国通貨の特性として、世界経済が上向きムードだと価格が上がりやすく、世界経済が下向きムードの際には下がりやすい傾向があります。値動きが激しく情報も手に入りにくい通貨のため、米ドルや豪ドルなどと比べて上級者向けの通貨です。
アナリストの注目指標
アナリストが注目する、経済指標やイベントについて紹介します。
SARB・金融政策委員会 南アフリカの中央銀行である南アフリカ準備銀行(SARB)が金融政策を決定する場です。インフレ率を目標の3~6%のレンジ内に収めるために、SARBは総裁含む5人のメンバーで金融政策を調整しています。政策を変更しなくとも、メンバーの政策決定時の投票バランスが変わっただけでも南アランド相場に影響を及ぼすことがあります。 |
消費者物価指数 インフレ・ターゲットを採用するSARBが最も重要視する指標のひとつが消費者物価指数の動向です。ただし、南アフリカはエネルギー輸入国のため、通貨安や原油高が起こると国内の物価の上昇が加速し、経済を圧迫する要因となります。そのため、インフレの上昇が急激な場合、利上げ観測が台頭しても南アランド高に結びつかない場合があるため、注意が必要です。 |
財政収支 南アフリカの最大の問題は財政赤字の大きさです。国営企業の電力会社や航空会社などへの経済支援が財政赤字の拡大の大きな要因となっており、これが南アフリカの信用問題につながっています。南アランドの値動きに直接影響することは少ないですが、財政赤字拡大によって格下げ懸念が広がることもあり、重要な指標といえます。 |
予算関連発表 毎年2月に年度予算案、6月に補正予算案、10月に今後3年間の政府予算の方針を決める中期予算計画が発表されます。この中で経済成長率や財政収支の見通しが示されます。特に財政赤字が縮小方向を示していれば、南アフリカの信用にはプラスと受け止められ、南アランドの上昇要因視される一方、財政赤字の縮小ペースが遅い、もしくは赤字増の見通しとなれば、下落要因となります。 |
SARB・金融政策委員会
年6回
南アフリカの中央銀行である南アフリカ準備銀行(SARB)が金融政策を決定する場です。インフレ率を目標の3~6%のレンジ内に収めるために、SARBは総裁含む5人のメンバーで金融政策を調整しています。政策を変更しなくとも、メンバーの政策決定時の投票バランスが変わっただけでも南アランド相場に影響を及ぼすことがあります。
消費者物価指数
月1回
インフレ・ターゲットを採用するSARBが最も重要視する指標のひとつが消費者物価指数の動向です。ただし、南アフリカはエネルギー輸入国のため、通貨安や原油高が起こると国内の物価の上昇が加速し、経済を圧迫する要因となります。そのため、インフレの上昇が急激な場合、利上げ観測が台頭しても南アランド高に結びつかない場合があるため、注意が必要です。
財政収支
月1回
南アフリカの最大の問題は財政赤字の大きさです。国営企業の電力会社や航空会社などへの経済支援が財政赤字の拡大の大きな要因となっており、これが南アフリカの信用問題につながっています。南アランドの値動きに直接影響することは少ないですが、財政赤字拡大によって格下げ懸念が広がることもあり、重要な指標といえます。
予算関連発表
年3回
毎年2月に年度予算案、6月に補正予算案、10月に今後3年間の政府予算の方針を決める中期予算計画が発表されます。この中で経済成長率や財政収支の見通しが示されます。特に財政赤字が縮小方向を示していれば、南アフリカの信用にはプラスと受け止められ、南アランドの上昇要因視される一方、財政赤字の縮小ペースが遅い、もしくは赤字増の見通しとなれば、下落要因となります。
アナリストの紹介
石川 久美子
(いしかわ くみこ)
ソニーフィナンシャルグループ
金融市場調査部 シニアアナリスト
2009年4月に外為どっとコムに入社。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。外国為替市場に関するレポート執筆の他、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」など多数のテレビ番組に出演し、金融市場の解説を行う。資源国・新興国通貨に強い。
過去10年の値動き
2015年 | 7.77円 |
2017年 | 9.03円 |
2019年 | 7.75円 |
2021年 | 7.21円 |
2023年 | 7.71円 |
出所:Bloombergのデータよりソニー銀行が作成(表内の為替レートは記載年における12月末の終値を記載)
通貨の豆知識
中国の人民元には本土居住者のみが取引できるCNY(オンショア人民元)、国外の投資家が取引できるCNH(オフショア人民元)があります。
南アランドもかつては国内の取引に適用される「商業ランド」、非居住者の投資などに適用される「金融ランド」の二重通貨制度をとっていましたが、1995年に現在の南アランドへ統一されました。
掲載データ・情報は万全を期していますが、その正確性・安全性などを保証するものではありません。また、掲載データ・情報などは、作成時点のものです。
記事冒頭の星は、以下の基準をもとに当社独自の判断にて階級を設定しています。
- 政策金利の高さ 執筆時点の政策金利をもとに、1.00%未満を星ひとつ、1.00%以上3.00%未満を星ふたつ、3.00%以上5.00%未満を星3つ、5.00%以上7.00%未満を星4つ、7.00%以上を星5つとしています。
- 為替レートの変動しやすさ 2023年12月末の2週間インプライド・ボラティリティ(出所:Bloomberg)の過去60日平均をもとに、6%未満を星ひとつ、6%以上9%未満を星ふたつ、9%以上12%未満を星3つ、12%以上15%未満を星4つ、15%以上を星5つとしています。
- 情報の入手しやすさ 2023年7月から12月における当社配信のマーケットレポートならびに一般的な情報より階級付けをしています。