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為替リンク預金をやってみた(第5回)

1.外貨スタート型での損益

第4回のブログで、ニュージーランドドルを為替コスト0の実勢レート(84.29円)にて、101,228円で1,200.94NZDだけ購入し、全額そのまま為替リンク預金(外貨スタート型)に申し込みしました。
預入日が6月2日、判定日が6月30日、満期日が7月2日、金利が年11.00%(税引き前)、特約レートが84.69円です。

損益などを計算してみます。外貨スタート型はもともと外貨を保有しているかたが対象であり、購入時のレートは人それぞれですので、まずは既存の為替差損益は除いて計算しました。結果は次の通りでした。

1,200.94NZD×(84.69円-84.29円)=480円

為替差損益を考慮したい場合は、平均購入レートは損益状況で照会できます。

外貨損益状況の図

利息は税引き後で年8.765%(税引き前 年11.00%)、日数は6月2日から7月2日までの30日で利息額を算出。

1,200.94NZD×8.765%(税引き後の利率)×30(日数)÷365=8.65NZD

参照レートが特約レートより円安になった場合は、特約レートで円に転換なので円に還元してみます。

1,209.59NZD(元利金)×84.69円(特約レート)=102,440円

円建元本は 1,200.94NZD×84.69円=101,707円 なので、特約レートよりも円安になった場合に為替差益は享受できないですが、合計で損とはならず、円建元本は維持されます。

参照レートが特約レートより円高の場合は外貨保有のままです。
元本を特約レートでの円換算(=円建元本)として、損益分岐点を計算してみます。

101,707円÷1,209.59NZD(外貨の元利金)=84.08円

今回の条件だとバッファーは61銭(84.69-84.08)程度になります。

損益図を描くと、形状は過去のブログで見た円スタート型と同様になりますね。

縦損益(円)と横為替レート(円)の特約レートで見た損益図

円スタート型をやっているときは、外貨を購入してもよいという考えよりは、市況を考慮して外貨に転換されないよう、円預金の延長で高金利を享受したいという意識でやっていました。(それがたまたま上手くいったから行使されなかったのですが)
今回は外貨を購入してすぐ外貨スタート型に申し込みしたので、為替差損益もほぼ抱えておらず損益図も円スタート型と同様になるため、円スタート型に申し込む際とほぼ同様に、大きな為替変動は見込んでおらず高金利を享受したい、という意識で申し込んでいます。

もともと外貨を保有していたかた(購入レートと特約レートがだいぶ違うというかた)は購入レートをベースとした損益を意識して、利益確定や損切りの出口戦略を考えているのではないでしょうか。今回の事例で損益図を描いてみると、今回は外貨預金購入からのレートで40銭分の為替差益があるため、1つ目のものよりもその分だけ上にスライドした形になります。

ちなみに元本の円換算を購入レートで行った場合の損益分岐点は、次の通りです。
1,200.94NZD × 84.29円 ÷ 1,209.59NZD = 83.69円

縦損益(円)と横為替レート(円)の購入レートで見た損益図

2.為替コストを考慮して外貨定期預金と比較すると

ここで、為替リンク預金(外貨スタート型)と通常の外貨定期預金を比較してみたいと思います。
どちらも1ヶ月ものに申し込みして、為替リンク預金が円転換されず外貨で返還された場合は通常売却する、外貨定期預金は満期到来時に売却する、という前提で考えてみます。

まず外貨定期預金を考えてみます。

縦預入期間と横お預け入れ金額の外貨普通預金からのお預け入れ、自動継続の金利の表 

この時は1ヶ月ものの金利が税引き前で年3.8%だったので、申込金額は為替リンク預金と同様1,200.94NZDとすると利息額は次の通り。

1,200.94NZD×3.028%(税引き後の利率)×30(日数)÷365=2.99NZD

外貨定期預金を申し込んだ場合の持ち値も同様に84.69円として、先ほどの「特約レートで見た損益図」に外貨定期預金を重ねて、申し込みした為替リンク預金と比較してみます。

縦損益(円)と横為替レート(円)の為替リンク預金と通常の外貨定期預金が満期となった際の損益図

為替リンク預金の利息が8.65NZD、外貨定期預金の利息が2.99NZDなので、利息の差分だけ為替リンク預金(外貨スタート型)が有利ですが、為替リンク預金(外貨スタート型)は特約レートより円安になった場合の為替差益は放棄となりますので、今回の条件では84.69円から40銭上の85.09円まで円安に振れると、通常の外貨定期預金が為替差益で逆転します。

さらにここから定期預金が満期到来して通常売却する場合を考えると、通常売却は為替コストが45銭かかりますが、為替リンク預金は円安の場合は為替コスト0で円に転換となります。
為替コストも考慮すると、外貨定期預金が損益で逆転するのはさらに45銭分、つまり85銭(今回の条件では、84.69円から約1%)ほど円安になるまでは逆転されない(為替リンク預金が優位)、ということになります。

為替リンク預金(外貨スタート型)は特約レートより円安に振れた場合は通常の定期であれば得られる為替差益を放棄することになるため、お申し込みを躊躇するかたもいらっしゃると思いますが、為替コストも考慮するとだいぶ印象も変わるのではないでしょうか。

外貨スタート型の申し込みの結果についてはまた次回のブログで!

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為替リンク預金をやってみた(第6回) 2023年8月16日公開分

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為替リンク預金をやってみた(第4回) 2023年7月6日公開分
為替リンク預金をやってみた(第3回) 2023年6月14日公開分
為替リンク預金をやってみた(第2回) 2023年5月24日公開分
為替リンク預金をやってみた(第1回) 2023年4月26日公開分

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